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変換なしの雑食夢

ran

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初恋と三成 7

「逃げぬのだなぁ」
「何がだ」
「いつもならとっくに逃げている頃よ」
「秀吉様の勅命に逆らえるわけがない」
「それだけか?」
「刑部」
「雪殿は?」
「…」
「やれ、脹れても主は禍々しいだけよ。やめしゃれ。で、今何処よ?」
「時雨のところに行っている。」
「ああ。それでか」
「なんだ」
「馬に悋気とは可愛いものよの」
「…ふん」
「にしても」
「?」
「主にしては実に丸い」
「私は今まで通りだ」
「元来主は素直故。心を開いたらそうではあるが」
「…」
「まぁ厩からの再三の申し出を蹴ってまで主の看病をしていたせいで、あの暴れ馬の機嫌は頗る悪いらしいからなぁ。若虎が前代未聞の珍事と笑っておったわ」
「そう、なのか?」
「(随分と嬉しそうよ)ひひひっ。先程偶々通りかかったら説教をしておったよ。主が調子の悪い時には辛抱せよと」
「!」
「ひひひ、馬に勝ったなぁ」
「あれはただの馬ではない」
「ん?」
「一番妹離れしていない兄弟だ」
「言えてて妙よの…ん?」
「大谷様。石田様。今帰りました」
「おお、雪殿」
「すいません。お風呂まで入らせていただいて」
「ゆるりとできたか?」
「はい」
「後は頼むなぁ」
「刑部」
「お仕事頑張ってください」
「あいあい」




刑部様が退室して振り向くとやっぱり顔が赤い三成様がいて私は少し怒りながら熱が上がりますよという。するとあーとかうーと歯切れ悪く言った後、横になるのだ。仕事の虫だからよく見張ってねと竹中様に言われて、時に実力行使も致し方なしと太閤殿下に言われていたから張り切っていたものの肩透かしだ。





「もう少ししたらお薬の支度してきてくださいますから」
「ああ」
「横で弓の手入れしてます。何かあったら言ってくださいね」
「…」
「三成様?」
「い、や。」
「???」
「時間は構わないのか?」
「はい…煩かったですか?」
「煩くない」
「すいません。松様とか佐助兄様は看病するときは繕い物したりしたりして物音たてないのですけど…私はそういうのが苦手で」
「苦手なのか?」
「というより…妹離れできていなくて。あっ!これはすごくありがたい事なんですけど。針で指を指してはいけないとか…料理はなんとかやらせてもらって掃除も。でも何故か繕い物はさせてくれませんでした。」
「そうか」
「行儀作法も…まだまだですね。大阪の人を見ていれば恥じ入りばかりです」
「そうか。私は元々近江出身だからよくわからん」
「そうなのですか?」
「まぁ、きかん気が強いしな。こういう性分だ。小さな時に寺に入って其処で秀吉様に出会った。」
「そうなのですか」
「そんな顔をするな。今も昔も交流はある。佐和山の城は父と兄が通常見てくれているしな」
「…」
「?」
「石田様は不思議ですね」
「?」
「水のようです。山にある、湧き出たばかりの」
「水源か?」
「はい。怒らせて仕舞えば大変そうなとこも。」
「言うてくれるな」
「左近様が吹っ飛ばされるの見ましたから」
「…あれは」
「左近様叩いちゃ駄目ですよ」
「っち」
「うちも人の事は言えませんけどね〜。殴り合ってますもん」
「真田か…あれも嫁が居ないのだろう?」
「え?!」
「破廉恥と言って女を避けていると聞いたが?」
「幸村兄様あれで情熱的だから。ふふふ。子供いるんですよ」
「は?!」
「知りませんでした?元々今回の同盟で幸村兄様とこちらの姫君をとの話を兄様お断りしたのです。娶るのはただ一人と。同盟を反故にするつもりはない。説明は己が自ら大阪に行くと。」
「そうだったのか」
「逆にこちらの方が誰も娶られていなかったからできた話ですけど…石田様」
「ん?」
「まさか」
「???」
「…そういう事出来る人ではないか」
「なんの話だ?」
「いえ、石田様。それをご存知で手っ取り早く私を」
「違う!!!っごほごほ!」
「ああ!お水です。」
「すまない、が」
「石田様?」
「もう二度というな」
「…」
「何だ?」
「やっぱり水みたいな人」
「お前は」
「?」
「花だ」
「花?」
「ああ。」
「移ろうものですよ」
「人は移ろう。ともに移ろえば良い」
「!」
「心変わりをせんように私が努力すればいいだけの話だ」
「意外と」
「ん?」
「情熱家ですね」
「お前だけだ」







初恋と三成 7








「時に、だ」
「?」
「時折帰っても良い、と言えば」
「???」
「嫁いでからだ」
「そんな良い加減な」
「…」
「とりあえず、お薬来ましたから飲んでください」
「…」
「石田様」
「…不味い」
「ご苦労様でした」
「…」
「石田様?」
「あ、ああ」

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