忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

不幸娘と三成

「やれ」
「…刑部か」
「如何した?」
「井戸のところにある女は何者だ?」
「女…ああ。あれは主の侍女の一人よの。また何かしたのか?」
「私はしていない」
「左様か…なればよいが」
「泣かぬのだな」
「ん?」
「女は泣くと思っていた」
「それは、そうよの」
「…」
「気になるか?」
「?」
「左様か。主の世話をさせてみるのも良いかもしれぬなぁ」
「は?」
「泣かぬ女は珍しい故。長続きするやもなぁ」
「そうか」
「良いのか?」
「貴様に任せる」






どんな因果か知りませんが、何故私はここにいるのでしょうか?








「えーっと(お茶、濃い目の熱め。香は駄目。部屋にいる時は静かに。気配を消す。…どうやって消すの?意味わからん!)」
「大丈夫?」
「書付は頭の中に入れました!けど」
「屍は拾ってあげるから」
「うー…頑張って生還します!」





今から殿様付きの侍女になってしまった。死刑宣告を受けました。
最近散々だったので今度のお休み寺社詣りに行こうとした矢先の宣告は私の心を抉り取る。





「失礼致します」




意を決して部屋に入ったところ誰もいらっしゃらなかった。




「あれ?いらっしゃらな…いぃ?!
「う…」
「(倒れてる?!)殿様…熱い。熱!」
「触るな!」
「痛っ?!殿様…」
「誰だ貴様!何故、此処に」
「今日から殿様付きの侍女になった…いいいえ!それより」
「なっ?!」
「お布団に!」
「は、離せ!この馬鹿力!!!!!」
「(軽!この人噂通り霞で生きてる!)良いですか。失礼致します!」
「貴様ぁぁぁ!!!!!」
「袴脱いで下さい。諸々壊れてしまいます。お召し替えは…無理ですね。」
「…それは!秀吉様から下賜された」
「なれば尚更。床の間に祀っておきますから」
「何!」
「痛いです。叩かないでくださいませ!」
「離せ!仕事が」
「ミミズの這ったような文字ですよ!」
「…」
「医師を呼んできます。あと刑部様も」





どういって飛び出すと叫び声と物が壊れる音に驚いた周囲が垣根になっていて思わず引く。いや、それより、刑部様をと言えばふよふよと何方かがやって来られる。きっとこの方だ!とおもい早口で石田様の状態を告げると引き笑いで部屋に入られる。但し、目は笑っていなかった。






「あーあ。怒られていなさる」
「医師を呼びにいけ」
「行きました。左近様が連れてくるって」
「大丈夫かしら」
「それより」
「…………」
「きゃ!どどどどどうしたの?!口の端!」
「うわー…跡になるなぁ。」
「青痣だから大丈夫よ」
「怖かったぁ………」
「取り敢えず傷の手当を」
「やれ、先の侍女はどこよの」
「はい」
「これはまた。大層にやられたなぁ」
「刑部様。今より傷の手当を」
「なれば三成の横でも構うまい」
「(構います!!!)」
「世話をしてやらしゃれ」
「は、い」





此処には優しさはないらしい









不幸娘と三成







「…失礼します」
「…」
「ありゃ!どーしたんだよ!女の子の顔に」
「女の子ではないということですかね。先生」
「んー口の中も切れてますね。痛くないですか?」
「…」
「やれ、犯人の前で言えるわけなかろう」
「三成様?!」
「…知らん!」
「どちらでも良いので…軟膏ですか?」
「そう。口の中は無理だから。時々血を吐き出しなさいね。気持ち悪くなるから」
「はい」
「大丈夫?」
「大丈夫ですよ?」
「いやー普通なら泣いてるけどね。君らしいよ。はい出来た」
「島様。少し殿様の側にいていただいてもよろしいですか」
「良いけど」
「やれ、いかぬ。この男気が付かぬでな」
「酷っ!」
「では水指しを誰かに頼んできます。殿様」
「…」
「やれ、三成」
「粥なら行けそうですか?」
「いらん!」
「…それも頼んで置こう。」
「なら、お召し替えの支度だけしておきます」
「やれ、まさかその間だけか?」
「はい」
「…主は着替えぬで良いのか?」
「え?ああ。このままではよろしくないのなら…私は侍女の中でも下っ端でしたので」
「俺たちのとこしてくれたもんなぁ。」
「はい」
「左近…」
「え?なんで凶惶?!」
「ではお願いします」

拍手

PR