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変換なしの雑食夢

ran

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雨が、降っていた。

私の節目節目には良く雨が降る。
秀吉様との出会いも半兵衛様との出会いも。
刑部に会った時も。
そしてあれと出会った時は五月雨が降る折だった。


侍従として秀吉様の元に侍る1人として出会ったあれを見た時、私は庭の杜若を思い出した。それは着ていた装束が杜若の花の色に似ていたからかもしれない。唯、その姿形が雨に濡れても尚美しく咲き誇るあの花に似ていたのが理由の最たるところだと今でも信じている。多色塗りで煌びやかな反面毒々しい女たちとは違う単色塗りの凜としたあれは私の側に常にいた。
友として、一生伝えることはない気持ちを抱いた相手として常に側に居て秀吉様に尽くした。

三成殿は秀吉様の左腕で私は影でありたいとあれは良く言っていた。秀吉様がいないと生きていけないのだと。次いで言えば私が居ないのも同じだと。


常に私はあれをあれは私を信頼していた。刑部が其れを見て表裏よなと言っていたが私もあれも否定したことは一度もなかった。
使う武器、性質、喋り方、性別。反対であるあれと私の共通項は秀吉様であり、其れが全てであったのだ。あれは私に比べ疑心も強かった。其処は刑部と同じだと二人は良く私をからかったのだ。疑心の気薄な私を二人は笑い、支えてくれた。自然、刑部とも輩と呼べる間になったのだ。



疑心が強い分親しくなると義に篤く裏切りもしない。他の者がいない時はただの女のように話したり泣いたり怒ったり。何より大いに笑っていた。





そのあれが、唯一心を許さなかったのは家康だった。
良き友の一人となれるのではないかと言う愚かな私の言葉を珍しく言い淀みながら。それでいて明確な意思を持って拒否していた。徳川殿は我々と違うと。そう言って。
そしてあれは刑部とともに半兵衛様に願い出ていたのだ。必ず私かあれを側につけて欲しいと。どちら共を側から離すことはしないで欲しいと。私には理解不明だったこの願いを半兵衛様は快諾した。陣中にいても必ず何方かが秀吉様の側にあった。いや、何方かといえば私が戦さ場を駆けあれは側に居たのだ。秀吉様の為に戦えと言ったがこれも私の戦いだと言ってあれは一歩も引かなかった。これはとても珍しいことで、逆に私がたじろぎ半兵衛様と刑部との短慮という叱咤も相まって、折れることになったのは記憶に新しい話だ。




何故なのかがわかったのもまた、雨の折だった。
家康の謀反に対する急襲を逆手にとって大打撃を加えたあれは一人で家康と本田を相手にした。あれの軍の鬼気迫る攻撃は賞賛に値するものだった。

唯、あれを相手にするには此方も無傷ではいらなかったのだ





知らせを聞いて、あれの元へ駆けて行く最中も雨だった。




















「…」
「やれ、三成」
「刑部か…」
「また眠ったか?」
「ああ」
「ふふふ」
「?!」
「狸寝入りは品がないのう」
「すみません。狸寝入りでは無く、寝が浅くて」
「何か飲むか?」
「ふふふ」
「?」
「お二人が枕元に膝を突き合わせるだなんて…」
「我にとっては主は良き友の一人故」
「あら、嬉しいですね」
「わ、私もだ」
「三成殿は迎えに来てくれましたものね。」
「当たり前だ」
「ふふふ」
「そんなことより、傷痛みは?」
「なんとか。秀吉様と半兵衛様は?」
「お前が来てもいいというのならと仰っていた」
「お目汚しですよ」
「ひひひ。なれば我は如何する?」
「自虐的ですよ」
「主の話よな」
「私は…そうですね。雷に打たれたようだから…」
「其れがどうした。あまり話すな。本調子ではないから疲れるぞ」
「主は此れには優しいなぁ」
「三成殿は刑部殿にも優しいでしょ?」
「左様左様」
「っ?!お前達!」
「三成殿」
「…何だ」
「ありがとうございます」
「…何がだ?!」
「ふふふ」
「笑うな!」
「貴方様が助けに来てくださってどれ程嬉しかったか」
「…当たり前だ。そんな事より!早く休め!!」
「はいはい」
「早く良くなれ。…共に戦えなくとも、共に歩むことは出来る」
「!」
「どうかしたか?」
「い、や」
「はてさて求婚よな」
「そのつもりだが?」
「?!」
「つまらぬなぁ。からかい甲斐がない故つまらぬ」
「つまるつまらぬではない。良いな。早く良くなれ」
「…」
「おい」
「乙女心も解さぬ奴よなぁ。ひひひ。よかったのぅ」

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