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変換なしの雑食夢

ran

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真を芯に清して進す 4

毎月の終わり。私は私の執務室で、石田様と帳簿を整理する。出資から始まり戦仕度への手伝い諸々。大体二人で行うのだけれども、雑賀様との件で些か気まずい。そう思っているのは私だけらしく、石田様はいつもどおりだから益々気まずい。



「…」
「…」
「あら…」
「ん?」
「この書類は誰が?」
「……左近だな」
「途中で桁を間違ってます。…訂正しても?」
「頼む」
「…」
「…」
「…」
「…おい」
「はい?」
「腕は」
「え?ああ…本当にお恥ずかしい話です」
「何を言っている。私が不用意だっただけだ。」
「ふふふ。石田様らしい」
「すまなかった。刑部にも周りが見えていないと言われてしまった」
「私などのことを気になさらなくても良いのですよ。石田様は尊い方なのですから」
「…」
「さてと、これで終わり…石田様?」
「お前は私を尊いと良く、言う」
「はい。あなた様は殿下の左腕。尊いと申しても差し支えないかと」
「そうか」
「石田様?」
「では聞くが」
「何でしょうか?」
「お前が尊いという私が」
「?」
「望んでいるといえば」
「何の話ですか?」
「お前を…望んでいるといえば。」
「何を」
「お前は私の元に来るのか?」
「…冗談にしては」
「私が冗談を言う性質か否かよく知っているだろう?」
「っ」
「妻になって欲しい」



そう言って私の手を触れようとするので思わず、手を退けてしまう。きっと顔は青くなっているだろう。
目が見開いて、静かに瞳を閉じた石田様は「そうか」とだけ仰って席を立たれた。







「月瀬」
「あ、はい。竹中様」
「心ここに在らずかな?」
「仕事で不手際でも」
「ないよ。完璧だね。」
「なら何故」
「昔の君みたい」
「!」
「下を向いているよ」
「そう、でございますか?」
「秀吉も心配してる」
「?!」
「ふふふ。君も秀吉が好きだね」
「とても、好きです」
「珍しい」
「崇拝していると思っていただければ」
「ふふふ」
「命の恩人だからではありません。あの時、あの方とお会いして全てがひっくり返る感覚を覚えました。」
「三成君と同じ事を言うね」
「私は」
「君は確かに弱いよ。でも、君がいないとこの大阪は整然とした秩序を維持することが難しいだろうね。それほど君は僕たちにとって無くてはならない存在になっているよ」
「世辞でも嬉しゅう」
「世辞を僕が言うとでも?」
「…いえ」
「三成君なら長浜からの付き合いだろう?秀吉の為に裏方も表方も尽くすのだからこんなによう話はないと僕は思うのだけどね。」
「石田様には」
「強く美しい子。君は容姿も良いし、武勇で誉れ高い家の出だ。不足はないはずだよ」
「です、が」
「こんなにも歯切れの悪い君は初めて見たよ。…本心を言いたまえ。」
「私はあの方に…相応しくありません」
「だから」
「私は」
「月瀬?」
「愚劣な男からすら身を守れないのですから」
「…」
「彼の方にはふさわしくないのです」
「君はあの時の事を…」
「忘れられるはずもありません。」
「そう、か。…すまない。てっきり忘れていたと」
「いえ…忘れられないのは私の弱さです。今でも、やはり二人きりは怖いものですよ」
「今でも?」
「…少し」
「そうか…」
「半兵衛様?」
「それは、君にとっても辛いことかもしれないけれども」
「?」
「僕たちにとっても辛い事だね」








真を芯に清して進す









「やれ、月瀬」
「はい、大谷様」
「最近ちと表に出ぬなぁ。久しいものよ」
「ふふふ。本来私は裏方でございますから」
「ひひひ。ぬしは本に嘘が下手よの」
「ふふふ。今日は何か?」
「三成が食せぬでな」
「あら」
「主に振られた傷が癒えぬらしい」
「御冗談を」
「本当よ、本当。気晴らしに遠出と思うたが」
「私は仕事が」
「左様か…にしても」
「?」
「ぬしもひどい顔よ。寝ておるか?」
「はい」
「本に嘘が下手よの」

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