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変換なしの雑食夢

ran

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昔男ありけり

「熱?!高熱か!医師を!!」
「安心しりゃれ。今は寝ておる。にしても主は…」
「?」
「あれに何故面等向かわぬ?」
「むむむむむむむむむりだ!」
「我は主があれを恋い焦がれておるのは知っておるがあれは主に嫌われておると思っているからなぁ。主が足繁く義父上のもとに通い、許可を得た上で太閤に頼み込んだことすら知らぬ故。あれでは嫌われてしまう。それに」
「?」
「主の浮名もよう知っておる」
「?!!!?!?」
「知られておらぬと思う方が面白い話よの」
「刑部」
「ひひひ。困った時み頼られるな。」
「…」
「大事にしりゃれ。漸く夫婦になった故」
「ああ」
「大体あれは普通の娘ではない故…」
「みみみみみみ三成様ー!!!!!奥方様が!」
「何?!」
「こうなるのよなぁ」





取り敢えず腹が立ったので里に帰ろうとした瞬間、異常にまで慌てる侍女たちに島殿を呼ばれる。それが益々腹立たしさを助長する。
走っていく背中を見つめて堪忍袋の尾が切れた。



「奥方様〜」
「降りてきてくださいませ」
「嫌よ」
「何であんなところに…」
「奥方様が鬼河津のご息女である事を失念しておりました…」
「ここから出ていくと先程から」
「三成様がご覧になったら…」
「あ!」
「三成様!」
「奥!?」
「ひひひ。御転婆が過ぎ様な」






玄関まで無理を通せばよかったと舌打ちをする。侍女たちに怪我をさせない様にと気を回し過ぎたわと思いながら実家の方を見る。もし門前払いを食らったら一通り呪詛をばら撒いて山にでも篭ってやろう。下から叫ばれる声を無視してそう思う。無責任な男達は危ないかそう言う。今まで無視に近しいことをして居たくせに。





「降りろ!」
「…」
「危ない!!!」
「ふふ」
「?!」





怪我でもしたら合理的に里に返されるかなと思いながら笑っていると何故か焦った様に叫ばれる。遅い遅い。遅すぎる。今更構わないでよ。




「っ」
「…きらい」
「泣く、な」
「今更…私のことなんて捨てたくせに」
「捨てて居ない!」
「秀吉様の命だったからでしょ!!!私のことなんてきらいなくせに!!!!!」





子供の様に声を出して泣く。三成なんて嫌い、大っ嫌いと呟きながら。
恋に落ちて結婚できるだなんて思っても居なかった。愛のない結婚や義務による婚姻なんて良くあることだ。でもそれを度返ししても…今のこれはひどい。




「奥!」
「っ!」
「な、泣くな」
「いつの間に!近づかないで!」
「危ない。落ち着け」
「触らないで!」
「奥!」
「嫌い!大っ嫌い。…捨て置くつもりならはじめから言って!」





「お春」





「っ」
「泣くな…頼むから」
「名前」
「?」
「知ってたの?」
「当たり前だ。…ずっと言えなかったが」
「…」
「捨て置くつもりなどない。何より、私はお前が愛しい。」
「え?!」
「…私が乞うてお前を嫁に貰ったんだ。」
「嘘だ!」
「嘘ではない…」
「ずっと私の顔見てなかったくせに!」
「それ、は…かった」
「?」
「恥ずかしかっただけだ」
「はぁ?」
「赤面するんだぞ!恥ずかしくて見れるか!」
「他のとこ行くくせに…そんな」
「他の女などどうでもいい。その、だ。」
「?」
「お前を抱き潰してはならないと…そう散々皆に言われて居たし。かといってこのまま手を出すと潰さぬ自信もないし、だ。」
「初心か!」
「五月蝿い黙れ!何年お前に懸想していると思う!…15年だ!拗らせて何が悪い!!!」
「開きなった!大谷殿!!!石田殿はこんな性格なの?!」
「ひひひっ我にふるではないわ。惚れ気なら地上でしりゃれ。猿でもあるまいに…主の三成に対するすまし顔と三成の主に対する猫かぶりは同格よ。同格」
「猿じゃないもん!」
「刑部!前言を撤回しろ!!!こんな愛らしい猿がいてたまるか!」
「(きゅん)」
「ときめく沸点が低過ぎよ…」
「奥方様、熱あるのに元気っすね」
「もう面倒よ。やれ、皆仕事にもどりゃれ。阿呆らしい故」
「はーい」






「…下に行くぞ」
「降りれない」
「?」
「我に帰ったら怖い」
「っ」
「殿」
「名前で呼べ」
「?」
「そうすれば下ろしてやる」
「…三成様」
「!」
「?」
「今までのことは謝る。」
「私も」
「…嫌いと言ってくれるなら」
「昔男!」
「もう貴様だけだ」
「っ」
「手を出せ」
「んー!!!」
「安心しろ。私がいる」
「はい」
「もう拒否は許さない」










昔男ありけり

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