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変換なしの雑食夢

ran

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忘れても忘れられない三成

「忘れてもいいのよ。いいえ。私の事など忘れてしまって」
『 』
「あなたの美しい未来に憂いがありません様に。兄上と半兵衛。刑部と共に…幸多い、事」





美しい女性なのだろう。ただ、病身で事切れる間際でもある。手首も痩せ細り頬も痩け顔色も悪い。のに美しいと思う理由は何なのだろうか?他の誰にも思った事のない感情。愛しい、のだ。私はこの人を。


涙を湛え最後の力を振り絞って言葉を紡いでいる。瞬きする事すら忘れて私はその姿を目に…いや、此の魂に焼きつようとする。その声を鮮明に思い出し、私は必死に何かを言っている。
それを聞いて嬉しそうに、哀しそうに微笑むのだ。






「やれ、三成」





そして此の夢を見るときは私は起きる事ができず刑部の声で起きるのだ。声も顔も何一つ起きても忘れられないのにその人の名前だけは思い出せない。






「また、例の夢か?」
「ああ」
「顔を洗え。豊臣財閥の左腕が涙目で出社する訳にはいくまい」
「…っ。またか」
「泣くほど恋しいのに名を忘れるか。今日は思い出せたか?」
「いや…刑部、貴様何か知っているか?」
「ぬしの夢の君を?知るわけあるまい」
「そうか…そうだな。すまない、あれを見ると平静でいられなくなる。」
「そう哀しそうな顔をするな。夢よ夢」
「ああそうだな」





そう言って私は立ち上がる。時計を見ればいつもより些か遅いものの十分に間に合う。刑部に礼を言えば、今から寝る故と返ってきて思わず眉間のシワが寄る。




「やれ怒るな怒るな」
「物書きだから仕方ない故許せ」
「…ん?何だこんな早くに」
「ああ。編集者よ。」
「非常識だ!」
「ヒヒヒッ我が遅筆故。印刷所も止めてあってなぁ。今からすぐに渡してやらぬと原稿が落ちる。」
「…」
「ほれ。早く持って行きしゃれ。」
「ああ」




そう言ってネクタイを締めて、玄関に出て行く。にしても、編集者でまた遊んでいるなと思っていたら、今回は遊びすぎたらしい。あの刑部が珍しい





「…何だ?」
「あ!申し訳ありません。私は豊臣書籍の編集者で、竹中と言います。大谷先生、は?」
「…見つけた」
「え?あの。きゃ!」
「私は豊臣秀吉様直轄の豊臣株式会社社長補佐石田三成だ」
「だだだだだ抱きしめないでください!」
「嫌だ。拒否は許さない!」
「三成、原稿を…ん?」
「大谷先生!助けて!!!」
「ひひひ。名を忘れたとしても魂は覚えておるか。のう。姫」
「その呼び方やめて下さい!そんな事より原稿!!!落ちる!!!」
「ほれ。三成。邪魔よ邪魔」
「離せ刑部!邪魔をするな!」
「もーどうにかしてください」
「ひひひ。我も知らぬが…ん。作品が書けそうよ。ぬし、誰か他のものを呼べ。我は新作を書く故」
「?!」
「刑部?」
「編集長!!!大谷先生が新作書くそうです!ええ。はい。かすがちゃんを寄越してください。私付きっ切りで見張りますから!」
「やれ、姫!」
「…」
「ひひひ。知らぬ男の胸に顔を埋めるとは。ぬしも存外淫乱よ」
「酷い!」
「刑部!!!私の物を侮辱する事は許さん!!!」
「おお怖や。ぬしは今も昔も変わらぬよ」
「?」
「いや何。此方の話よ」








昔を忘れても忘れられない三成







「ひひひ。ようや行きよったな」
「…」
「ぬしも大変よ。覚えておられるか?」
「少し。はぁ嫌な予感はしていだけど。せっかく忘れてもらっていたのに」
「夢で昔のそなたを見るらしいがの」
「…にしてもです」
「怒るな怒るな。我とて三成が哀れでの。ぬししか愛せぬ男故。」
「…」
「我も世話に手こずるのよ。楽がしたい」
「今本音を聞きました。はぁ。」
「ひひひ。ため息など。幸せが逃げよるよ」
「本当に。まぁいいです。新作は?」
「レンアイよ恋愛」
「?!」
「大作になろう」
「まさか!」
「ひ、ひひひ」
「そ、それだけは!!!」
「文字が湧き出るわ。…ん?」
「なんか玄関が騒がしいですね」
「刑部!!!」
「え?!」
「…やれ三成如何した?」
「出社して、秀吉様半兵衛様に今朝のことを言ったらありがたくも有給を頂いた。逃げてしまわぬようにしなくてはならないと」
「!?」
「左様か。あいも変わらずぬしには甘い。やれ姫。どちらに電話よ」
「…いえ。元凶に」
「?」
「そんな事よりお茶が飲みたい」
「はい。…石田さんは?」
「頂く」
「朝食は?」
「…」
「今から僭越ながら私が作ります」
「頂く!」
「あー楽よ楽。ぬしもここで暮らしゃれ。太閤には我からいう」
「太閤?」
「…断固拒否します!」
「いやまて。聞き捨てならない名が」

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