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変換なしの雑食夢

ran

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侍女と三成

良く、憶えていないのだ。何故そうなってしまったか。
裸の体を抱きしめられながら私はそう思う。目の前にある痩躯は思ったより殿方のそれで目眩がする。残る傷に汗ばむ肌に私の意思は思った以上に凌辱されているのだろう。嫌でたまらないのにこの方の苦しみを知っているからこそ否定できはしない。両極の意思の中で私の心はぐちゃぐちゃになる。

珍らしく深酒をされた治部様に御酒をと呼ばれてあれよあれよと服を剥ぎ取られる。縛られた手首が痛い。早急に、そして一方的に触れられる其れが苦しい。求められているのはきっと体のみなのだろうと唇を噛み締めるのに漏れる声が忌々しい。涙を見せぬように硬く瞑って布団に押し付けても、この方の気分でそれを阻止されてしまう。目を開けろと言われなかったのが救いだ。目など開けていられない。己を失わないように縋るのだ。手の触れるものに。…それがなんであろうとも。

この方が私を求めているわけでは無い。決してそれは無い事を知っている。彼は誰でも良いのだ。肌の温もりを感じられれば、それで。現にこのようになった女を何人か知っている。分を過ぎたふるまいをすれば此処から出て行かなくてはならないだけだ。ただの気まぐれ。それだけなのだから私もそこさえわきまえればいい。
この腕を退けて、治部様が起きる前に出て行かなくては。


あの方のあの目はもう二度と見てはならない





「…」
「(頼みますから。後生ですから起きないで)」
「…」
「(良かった。着物…髪紐…)」
「…ん」
「(髪紐がない…何処?)」
「…っあ!」
「?!」
「おの、れ。いえ、やす」
「…」
「な、ぜだ!なぜ…」
「(だめ。いか、ないと)」



このまま起きてしまってはいけない。そう思って私は肌着を着て荷物を持つ。髪紐は仕方がない。きっと切れてしまったのだろう。見つかったとしても言い逃れが出来る。はたまたこの荷物の中に入っているはずだ。急いで部屋を出る。起きてしまわないよう細心の注意を払って。
思ったより夜は明けていない。近くの部屋に急いで入っては身支度をすませる。これは夢なのだ。悪い夢。

そう思って明日からいつも通りに過ごせばいい。








「夜勤お疲れ様」
「お疲れ様です」
「治部様おやすみになられていましたか?」
「え、あ…はい。」
「最近休まれていらっしゃらなかったからそれは良かった。貴方も自室に控えてお休みなさい。明日はお休みでしょ?」
「はい」
「この所忙しかったからゆっくり羽を伸ばしてきなさい。」
「ありがとうございます」
「あら?」
「?」
「貴方髪紐落としたの?」
「え?!ああ。そうみたいですね。」
「良くしていたから切れたのかしら?」
「そうかもしれません。」
「少し探してみるわ。」
「いえ」
「そう?あ、小間物屋が朝食の後に来ると言っていたわ。覗いてみたら?」
「ええ。では失礼いたします」
「おやすみなさい」





食事も取りたくない。髪紐も予備がある。横になりたい欲求が一番だ。


生娘でもあるまいし。良くある話だ。一々上の殿方の気分地振り回されては身が持たないと皆言うけれども本当にそうかもしれない。



何にせよ、眠たい。








侍女と三成








「やれ」
「…刑部、か?」
「ひひひ。よう寝ておったなぁ。」
「今、何時だ?」
「もう昼過ぎよ」
「?!」
「また深酒か…体に悪かろう。太閤たちにも言われておるがあと半月は療養よ。まずは体力を回復しりゃれ。」
「もう治った」
「まぁそう言う建前よ。にしても」
「何だ?」
「また酔いにかまけて女を喰ろうたか。」
「…かもしれん」
「ん?」
「まぁ、夢だろう。」
「?」
「…何だ?」
「いや、主には珍らしく恋待ち顔よ。」
「くだらん」
「左様か。まぁ我らとすれば何でも良いから主の子を見てみたいものよ。」
「ふん!」
「何が気に入らぬか知らぬが小姓のように女を抱かしゃるな。よからぬ噂ばかりよ。」
「気に入らん女と血を分けた我が子が要らぬだけだ。」
「ならばあれはどうよ?主のお気に入りの…侍女の。ほれ何というたか」
「…椿だ」
「それなら如何か?」
「あれにそう言う劣情は抱かん。…無体は出来ん」
「主のそいう所は面白い。で、その女は?」
「今日は見ていない」
「左様か…ん?」
「?」
「この髪紐は?」
「それは…」
「昨日の無体の相手か。…如何した三成。顔色が悪い」
「…椿のものだ」
「…」
「…」
「それは。御愁傷な事よ」

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