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変換なしの雑食夢

ran

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不幸な女と幸福な女と三成

奥はただの飾りで、姫が本当の思い人の様だからねと竹中様に言われた瞬間心臓を掴まれる思いだった。影でどう言われても聞かないふりをすればよかった。だが目の前の人は私にとどめを刺すが如く、その事を言うのだ。



「ご苦労だったね。」
「あ…」
「赤子を」
「もう少し、だけ」
「…言ったよね。君は産むのが仕事。後は後継者足る様に僕が育てると」
「ですが…」
「君のお父上もそれが一番良いと。」
「半兵衛様」
「おかね!?」
「ああ。ありがとう。うん。三成君に似ているね。」
「私の!」
「奥方」
「っ」
「僕は君に失望しているんだよ」
「え?」
「最初は偽りだとしても肌を交わした仲だ。情も生まれるだろう。ましてや子まで成したというのに。三成君の中に君はいない。」
「その様な…確かに好き同士で縁を結んだわけではありませんが…」
「きっと今ここに彼を呼んで君を斬れと言ったら何のためらいもなく君を斬るだろうね」
「っ!」
「現に君の存在が邪魔だから殺してしまおうと思ったけど…姫に止められたよ。父親も夫も君を殺す事を厭わなかったのにね。」
「そんな…」
「そう思うのなら、着いておいで」







「姫様」
「治部?」
「我が子でございます」
「産まれたの?そう…もうそんなに経ったのね。見せていただけるの?」
「お約束でしたから」
「ああ。そこでいいわ。」
「?」
「ふふふ。可愛い。でももう奥方にお返ししないと」
「?」
「病になってしまったら大変ですもの。治部。奥方を大切になさってね」
「奥は関係ありません。…姫様。お気になさらず。抱いてやってください」
「ですが…」
「この子もそう望んでおります」
「…小さな手」
「本当ですね」
「貴方に似てるわ」
「そうでしょうか?」
「ええ。きっと貴方に似て凛々しく賢くなられるわ。それが見れないのが残念だけれども」
「姫様!」
「ああ。ごめんなさい。寿ぎを紡ぐ時に」
「これの母親は処刑されるのです」
「え?!」
「ですから…此の者も。」
「待って、どうして?!」
「理由は…それの父親とだけ。それ以上は耳障りです。」
「こんな可愛らしい子を?…治部。貴方に似た子を殺すのは私が許しません!半兵衛を呼んでくださいませ」
「ふふふ。どうしたんだい?そんな大きな声を出して」
「聞いていたのでしょ?この子のことです」
「ああ。処刑前に見せたのかい…姫にそんな酷な事しないで欲しかったけど。約束なら仕方ないよね。連れて行くよ」
「半兵衛」
「何だい?」
「…」
「ごめんごめん。君があんまりにも必死で可愛いからさ」
「私は何をすれば奥方やこの子の命が救えますか?」
「…奥方もかい?」
「駄目なのですか?」
「それは無理だね。」
「…治部」
「秀吉様、半兵衛様のお申し付けなれば致し方ありません」
「半兵衛…」
「君次第と思ってるよ」
「…なれば、子供だけでも。あ…」
「如何したの?」
「尼にしても駄目ですか?」
「尼?」
「自領の尼寺に…お願いです。こんな無垢な子から母親を奪わないでください。」
「はぁ…そんな目で見られたら仕方ないね。但し」
「?」
「3つ条件があるけどいい?」
「はい」
「1つは薬をきちんと飲む事。僕たちの無事を願って薬断ちを二度としない事」
「わかりました。」
「もう1つは三成君の正室になって貰う」
「!?」
「最後は此の子の養母となってもらうよ。これを守ってもらえるのなら母子の命は保証する」
「ですが…」
「不服かい?」
「いえ。私はここから出られぬ身。病身で治部を支えられましょうか?正室としての責務を負う事すらかないませんのに」
「君の責務は三成君が豊臣の正当な後継者であるという証だ。それ以外は早く良くなる事位だしね。彼方は吉継君と考えるから大丈夫だよ」
「治部」
「一命をとしてお守りいたします。私は貴方様が健やかであればそれでいいのです。時折。ここに来た時私の名を呼んでくださればそれで」
「…」
「如何するんだい?」
「お願いいたします」
「?!」
「はぁ。やっと肩の荷が下りたよ」
「姫様!」
「治部」






「ヒヒヒッ」
「嘘…」
「あのように笑う三成を見た事はなかったか?そうであろう。あれはぬしの手には入らぬもの故」
「大谷様」
「姫の慈悲はぬしにとって是が非か…わからぬ。わからぬ…」
「もう一度だけ!我が子に」
「聞かなんだか?あれはもうぬしの子ではない。その上ぬしの一族はもう骸よ。」
「!」
「やれ、外戚の政治は一番嫌われるわなぁ。恨むなら事もあろうに姫を毒殺しようした己が父親を恨め」












不幸な女と幸福な女と三成









「ヒヒヒッ。終わった終わった」
「吉継君?首尾は?」
「上々よ。やれ、姫は?」
「今三成君と庭に出ているよ」
「姫の労咳は治ったが…体の弱いのは如何にもしがたいなぁ」
「仕方ないよ。でも…見てごらん」
「初々しい」
「やっと見れたね。3年越しだった」
「ほんに無慈悲な話よな」
「いくらでもチャンスがあったのに棒に振ったのは彼方だよ」
「致し方ないなあ」
「…にしても三成君に似ているね。」
「ん?ああ。それか。名はなんと?」
「決めかねているみたい。」
「まぁ時は長い。ゆるりと決めるがよろしかろ」

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