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変換なしの雑食夢

ran

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鈍色

「見てごらん。三成君からの結納の品だよ」
「ええ」
「食事は?」
「頂いております。皆様は?」
「うん。楽しく呑んでいるよ。」
「なら、宜しゅうございます。」
「姫?」
「如何しましたか?」
「ん。何でもないよ」
「半兵衛も宴の席に。この様な場所でいらっしゃる暇はないでしょ?」
「まぁ。そうなんだけど。秀吉が」
「兄上が?」
「表に出れずとも音ならわかるから箏でも笛でも奏でろとの事だよ」
「承りましてございます。松。箏を」
「はい」
「頼んだよ」




もうあれから何日も人の顔を見ていない。檜扇と言うのはこういう時に役に立つなと思いつつ縁に置かれた箏の前に座る。人払いをと言うと松ははいと答えるだけだ。素っ気ないなと白分の事を棚に上げて思う。見て欲しい。見てほしくない。この両極な願望が激流の様に流れてきて痛くて痛くて仕方がない。でも、私はいきているし、思考求められずにいる。何より、姫であり続けなくてはならないのだから。
ああ、そうだ。今は其れより、箏だった。
何を、弾こうか。思いつかない。



「あ、聞こえてきたね」
「うむ。」
「三成君に吉継君。すまなかったね。作法として姫はこの場には出せないけど。」
「いや、良い良い。三成も」
「三成?」
「はっ!申し訳ございません」
「ふふふ。君は本当に姫が好きだね」
「其れは!その…」
「構わん。あれは末の妹。一番可愛がった娘よ。幸せになるのなら其れが一番良い」
「幸せ」
「やれ、三成」
「私が姫を幸せに…」
「悩む事はないよ。君以外に姫を託す事は出来ないと前々から思っていたのだから。今回は急な話の体になってしまったけれども、前々から決まっていた事なんだよ」
「…三成」
「はっ」
「無理か?」
「…」
「ならば仕方が無い。」
「秀吉様?」
「我が妹は弱き者ぞ。故に枷になる折はすぐさま切り捨てて構わん」
「は?」
「そうなったとしても貴様は我が親族のまま。分かったか?」
「は、い」
「秀吉。ちょっと待って」
「恋をする感情など不必要よ。弱き証ぞ」
「っ?!」
「太閤」
「…姫は姫。我が下賜した道具の一つと思え。」
「秀吉!」
「そうでなければ…いや、いい。精進しろ。婚礼は佐和山にて一月後だ」
「待って!秀吉。話がある」






庭越しの宴会場が少し騒がしい。何かあったのだろうか?そう思いつつも箏の音を止める事はできずにいる。







鈍色








「ごめんね。三成君」
「いえ」
「秀吉は君が姫を秀吉そのものの様に見ているのが駄目みたいだね。」
「は?」
「そこは訂正しておいた。親愛と恋慕は違うとね。幸せにできる自信がないのかな?」
「…私は姫に厭われている存在、ですから」
「そう」
「半兵衛様!この婚姻をなかった事には出来ませんか?!」
「其れは…無理だね。」
「しかし、私の存在が姫を傷つけるのでしたら」
「君が拒否をすればすぐに違う男に嫁がせるつもりだ。彼女の意思は関係ない」
「…」
「自然、君は後継者から外れる。僕はね、君以外にいないと思っているんだ。」
「半兵衛様…」
「ごめんね。僕にも彼女の心中は読みかねているんだよ。悲しみの深淵にいるのはわかる。けど何故そこまで行ってしまったのかはわからないんだ。」
「深淵、ですか?」
「うん。だから秀吉もイライラしてるんだろうね。」
「…姫様」

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