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変換なしの雑食夢

ran

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ツンデれる三成 12

チクチクと針を動かす。殿様の着物はもう直ぐ出来るなぁとぼんやり思いながら外を見る。後正室様はやはり生まれも尊い人が良いだろう。私は…婢女だからあの人に迷惑がかかってしまう。
何より、正室にならなくても今と同じならばそれでも良いのかもしれない。下手に側室になるくらいなら。今のように自由が良い。陰日向にお支え出来る侍女が良い。

そういうと大谷様は困ったように笑ってぬしの方が大人よなぁとお答えくださった。そして臆病よとも。養女の件は保留として頂いたものの撤回する意思はないらしい。公で助けて下さるだけでも十分に有難いというのに。私としてもお助けして下さるつもりらしい。本当にありがたい。




「おや?」
「え?」
「ああ、君が」
「…殿様の御縁者様でございますか?」





どうしてそう思うんだいと庭先に急に現れた麗人がそう返してくる。少し、似ておりますのでといって私は糸を切って身衣を整える。手をつくとクスクスと笑われる。



「いや、ごめんね」
「いえ。しかし、殿様は今太閤殿下の謁見の為席をはずしております」
「ああ。そうか。…待たせて貰っても?」
「客間をご用意いたします」
「そんな大層な客じゃないよ、僕は?」
「大層か否かは関係ございません。」
「?」
「殿の私室までお越し遊ばす方に御無礼がありましたらいけませんから。どうぞ」
「ふふふ。聞いた通り」
「聞いた???」
「いや、独り言だよ。ああ、其れは?」
「え?ああ。殿様の」
「君が繕っているの?」
「…殿方ならばご存知かと思いますが好みがないようで鬱陶しいほど細かい方なので」
「鬱陶しいの?」
「些か。こちらへどうぞ。」
「へー…あ、ありがとう。にしても」
「?」
「君が慕っているのかと」
「…大谷様から頼まれましたか?」
「どうしてそう思うんだい?」
「…」
「ふふふ。雄弁は銀だったかな?」
「いいえ沈黙が金と言うのは時と場合によりますから」
「そう…うん。君はどう思っているんだい?」
「殿様はほんとーうにわかりにくい方ですが良いところも多々あります」
「悪いところは?」
「食べず寝ず。暴言暴力ですかね。あと人の心の機微がわからなすぎるのです」
「ははは。駄目なところばかりだね」
「そうですね…あれで太閤殿下の左腕なのですから太閤殿下の度量の深さに唯々感服するばかりです」
「?」
「あんな躾の悪い左腕を手懐けて服従させるのですから。並大抵な方では不可能です。」
「躾の悪いの?」
「好きな女に刀を向けて首の皮を切り、木刀で殴打しては冷水をかけるのですから…どうぞ、粗茶です」
「いや、すまないね。…その話本当?」
「やや、話を割愛していますので実害の5割程度です。」
「そうか…好きな子には意地悪したいのかな?」
「相手は普通の人間ですから。最悪死にます。加減というものを知りませんから」
「ずいぶん言いたい放題だね」
「…あなた様は」
「ん?」
「私の言葉を分析して機微を知ることができる方でしょうから」
「…」
「私の心内を理解していただけると」
「うん、そうだね」
「ですから」
「秀吉も僕も。君が良いと思うよ。」
「…は?」
「竹中半兵衛」
「竹中様?…まさか」
「そう。その真逆さ。」
「本当に就職先間違えた」
「ははは。諦めたまえ。大体身分なんてこの豊臣には関係のないことだよ。実力があれば良いのさ。」
「私はしがない婢女です」
「そうかな?ずいぶんと好かれているみたいだし。君でないといけなきみたいだよ」
「正々堂々とご自身で言えば良いのですよ。…どこぞで見ているのでしょう?殿様のすかたん!卑怯者!!」
「ふふふ。君がとても頑固だからね。三成君にしても嫌われたくないんだよ。」
「…説得してください」
「僕は君を説得しに来たんだよ」
「私は」
「公私ともに彼を支えてほしい」
「は?」
「身分は気にしなくていい。何処ぞの姫を嫁にもらわないといけない程度の人物ではないよ。一応ね。秀吉には左腕と右腕がある。三成君も。唯々、彼らには決定的に足りないことがあるんだ。其れはね、執着だよ。僕は秀吉とともに死んでも良いと思っている。其れはね、右腕ではなく友としてだ。でも三成君は違う。豊臣の意思を次世代に継承する役目を担っているのだから。だから死んではならないんだよ。でも今のままでは彼は死んでしまうだろうね。吉継君も三成君の意思を変に尊重しすぎるところがあるから。君の様に二人の執着に成れる女性をずっと探していた。」
「…」
「君が良ければ君の意思で。駄目なら強制的にでも」
「私は」
「ん?」
「あの人の足手纏いになりませんか?」
「そうなってほしいんだよ」
「…」
「君という弱い人物がいるから死ねないと思ってほしいんだ」
「…竹中様」
「なんだい?」
「何かあったら殴っても良いですか?」
「殴ってでも止めなければならない時が来たらね」
「其れでも止まらない時は」
「其れもまた宿命かもしれないけど…君にとって三成君はどんな人物だい?」
「暴言と暴力と無慈悲の塊」
「ははは」
「でも」
「…」
「愛しい方です」





ツンデれる三成 12







「っ!!!!」
「こんな三成君初めて見たよ」
「ああ!重い!!!この!卑怯者!!!こそこそせずに堂々としなさい!」
「だが、」
「やれすまぬなぁ」
「大谷様は良いのです。この意気地なしがいけないのですよ!」
「これでやっと私の正室だ!」
「お礼!」
「ありがとうございます!半兵衛様!!!」
「しっかり尻に引いてやってね」
「嫌ですよ。…何嬉しそうな顔してるのですか!ええい離しなさい!」
「やれ、賢人太閤はなんと?」
「あー…いつでも良いってさ。」
「では来月中にでも。こちらの用意は万全よ」
「意外と君も気に入ってるよね」
「我の愛い娘故」
「…こちらも用意しておくよ」

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