16 からんころん 番外編終 2015年11月01日 「やれ、三成」「…」「先鋒部隊はまだ帰らぬよ。」「知っている。」「先鋒の死者は頗る少ない。故に我らの出番はなかった。相手は壊滅状態なのになぁ。」「姫様が無事ならそれでい、」「やれ。帰ってきたな」「姫様」「なんと夥しい。首の数よの」馬に吊るされたそからは禍々しいまでの異彩を放っている。血塗れの姫様はお優しいいつもの顔ではない。ただ静かにこちらを見て父上はと尋ねる声すら違って見える。「案内する」「ああ」「馬上でよろしいが?」「御前にまかり通るのに?」「それはそうよの」「姫様」「三成様。口取りは良いです。己が手で致します。」「しかし」「三成」「…」父上と言って幕が上がる。御前に侍るとよくやったと一言言われる。ただそれだけだ。それだけで私なら天まで昇る気持ちだが姫様は違ったらしく、薄く笑って立ち上がる。「やれ」「ん?」「怪我はないかえ?」「ふふふ。大谷様はお優しいなぁ」「ヌシは我慢強い故よ。」「少し切りましたが大丈夫。大事ありませぬ。」「なら良いが」「姫」「はい、竹中様」「殿で良い。君は今から自他共に認める豊臣の後継者だ。秀吉以外敬語は必要ない。喋り方も呼び方も変えてくれ給え」「…わかった」「それで良い。他のものも良いね。」「はっ」「ひひひ」「怪我の手当てをせよ。」「あいわかりました」「…」「化けたね」「ああ」「姫様」「化けたというより」「?」「いや、なんでもない。なんでも」からんころん 番外編「痛くはないかえ?」「ああ。大丈夫だ」「跡になりよるな。」「何そんなに難しい顔をするな。大谷殿」「ぬ…しかし」「豊臣に入った時に女は捨てた。あの時に完全に。父も竹中殿も私に求めているのは…」「姫様」「やれ、三成。如何した?」「陣中見舞だ。怪我具合は?」「ひひひ。跡になりよるわ」「何?!」「怒るなオコルナ」「なにを怒ることがある?」「姫様の肌に傷をつけるとは…万死に値する!どうか屠る許可を」「一々許可できんな。石田殿、私はこれより戦場で駆けねばなるまい。傷つくのは至極自然なことだ。気にしないでくれ」「しかし!貴方は女子」「女の私はすでに死んだ」「…は?」「生きているのは後継者としての私だけだ。」「やれ、姫。」「故にだ。気にせずとも良い。」「…っ」「何よりこの話し方も竹中殿の采配。気に入らぬのなら繋ぎをつけてくれ」「それは!」「大谷殿も不快にならぬか?」「ひひひ。姫は姫。其れこそ一々気にせぬよ」「ありがとう」「私も、半兵衛様の指示なら厭いませぬ」「…」「姫?」「…本に其方という男は」「?」「いい、なんでもない」「姫様?」 PR