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変換なしの雑食夢

ran

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16

「やれ、三成」
「…」
「先鋒部隊はまだ帰らぬよ。」
「知っている。」
「先鋒の死者は頗る少ない。故に我らの出番はなかった。相手は壊滅状態なのになぁ。」
「姫様が無事ならそれでい、」
「やれ。帰ってきたな」
「姫様」
「なんと夥しい。首の数よの」




馬に吊るされたそからは禍々しいまでの異彩を放っている。血塗れの姫様はお優しいいつもの顔ではない。ただ静かにこちらを見て父上はと尋ねる声すら違って見える。



「案内する」
「ああ」
「馬上でよろしいが?」
「御前にまかり通るのに?」
「それはそうよの」
「姫様」
「三成様。口取りは良いです。己が手で致します。」
「しかし」
「三成」
「…」




父上と言って幕が上がる。
御前に侍るとよくやったと一言言われる。ただそれだけだ。それだけで私なら天まで昇る気持ちだが姫様は違ったらしく、薄く笑って立ち上がる。




「やれ」
「ん?」
「怪我はないかえ?」
「ふふふ。大谷様はお優しいなぁ」
「ヌシは我慢強い故よ。」
「少し切りましたが大丈夫。大事ありませぬ。」
「なら良いが」
「姫」
「はい、竹中様」
「殿で良い。君は今から自他共に認める豊臣の後継者だ。秀吉以外敬語は必要ない。喋り方も呼び方も変えてくれ給え」
「…わかった」
「それで良い。他のものも良いね。」
「はっ」
「ひひひ」
「怪我の手当てをせよ。」
「あいわかりました」
「…」
「化けたね」
「ああ」
「姫様」
「化けたというより」
「?」
「いや、なんでもない。なんでも」







からんころん 番外編





「痛くはないかえ?」
「ああ。大丈夫だ」
「跡になりよるな。」
「何そんなに難しい顔をするな。大谷殿」
「ぬ…しかし」
「豊臣に入った時に女は捨てた。あの時に完全に。父も竹中殿も私に求めているのは…」
「姫様」
「やれ、三成。如何した?」
「陣中見舞だ。怪我具合は?」
「ひひひ。跡になりよるわ」
「何?!」
「怒るなオコルナ」
「なにを怒ることがある?」
「姫様の肌に傷をつけるとは…万死に値する!どうか屠る許可を」
「一々許可できんな。石田殿、私はこれより戦場で駆けねばなるまい。傷つくのは至極自然なことだ。気にしないでくれ」
「しかし!貴方は女子」
「女の私はすでに死んだ」
「…は?」
「生きているのは後継者としての私だけだ。」
「やれ、姫。」
「故にだ。気にせずとも良い。」
「…っ」
「何よりこの話し方も竹中殿の采配。気に入らぬのなら繋ぎをつけてくれ」
「それは!」
「大谷殿も不快にならぬか?」
「ひひひ。姫は姫。其れこそ一々気にせぬよ」
「ありがとう」
「私も、半兵衛様の指示なら厭いませぬ」
「…」
「姫?」
「…本に其方という男は」
「?」
「いい、なんでもない」
「姫様?」

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