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変換なしの雑食夢

ran

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父と母と子 2

「刑部様?」
「ん?乳母殿。如何した?」
「あの、ですね。」
「ひひひ。ぬしにしては珍しい。なんぞあったか?」
「佐吉様の話でございます」
「佐吉か?如何した???」
「もう、恐ろしく恐れ多い話なのですが…」
「?」
「佐吉様が最近私の事を母上とお呼び遊ばすのです」
「(父親に似て仕事の早い)」
「どうぞ、刑部様からも石田様に奥方様を頂くのをお勧めください」
「はてさて。主があれの嫁になるか?」
「?」
「?」
「何を恐れ多いことを…!」
「ん?」
「このままでは真実、奥方様となられる方に申し訳が立ちません。重ねてお願いいたします」
「や、やれ」
「おい!何処だ???」
「あら、佐吉様」
「此処にいたのか!母上。早く行こう!厩に新しい馬が」
「佐吉様。私は母上ではありませんよ。」
「?!」
「いま、刑部様にお願い致しました。御母上様はきっと良い家の方が」
「…刑部」
「やれ、そう睨みしゃるな。いま我とて頭を抱えておる」
「?」
「私はお前が母上が良い!」
「其れはなりませんよ。」
「?!」
「家柄も釣り合いませんし、この様な醜女ではお父上様に申し訳ありませんよ」
「「?????」」
「え?如何いたしましたか???」
「醜女では無いぞ!」
「うふふふ。ありがとうございます」
「信じていないだろう!」
「そんなこと無いですよ」
「おい!」
「そう言えば。主は姉妹がいたか」
「はい。みな美人ですよ」
「左様か」
「刑部様?」
「ぬしも大概難儀よな」
「???」
「まぁ良い。佐吉」
「何だ???」
「やはりあの父親に頑張ってもらわんとなぁ」






父と母と子 2







「おい!」
「はい。…石田様?」
「誰に言われた?!」
「は?」
「醜女だ!」
「え?ああ。幼い頃から言われてましたが…石田様。歯軋りが」
「殲滅してこよう」
「え?!お、お待ちください!」
「何だ!」
「人類殲滅するおつもりですか?」
「は?!」
「いえ、だって!」
「勘違いするな!私はお前を見て醜女だと思ったことは無い!」
「…は?」
「その、だ。美しい、と…いや、待て!何だその顔は!!!額に触れるな!熱など無い!!!!」
「ですが」
「美しいし、愛しい…と」
「え?」
「…悪いか?」
「い、え」
「家柄も別段問題は無いと聞いている」
「そ、の」
「貴様に思う男がいれば…仕方がないが」
「お待ちください!顔が」
「っち!…居るのか?」
「私は佐吉様一筋です!…いえ、そういう意味のではなく。ああ!お顔が」
「知っているが!そういう意味で無いのなら!良いでは無いか!」
「う…」
「私のものとなれ!」
「あ、の」
「なんだ?」
「つ、ごうがよずきて…」
「知らん!」
「う…あ」
「是非のみだ!如何する!!!!」
「…」
「お、」
「お?」
「お願い致します」
「!」

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父と母と子

「ここにいたのか!」
「佐吉様。如何いたしましたか?」
「父上」
「石田様が如何致しましたか?」
「そこに居る」
「…」
「?」
「何故でございましょうかね…」
「特段の意味はないはずだ…顔色が暗いぞ!如何した???」
「如何もしておりませんよ。」
「…佐吉」
「父上!」




佐吉様のお母上がお亡くなりになって早3年。少し前から世話係の一人として私は側に仕えている。佐吉様は性格は厳しいなりも優しい方で、私にまで心を割いて下さる。そんな愛らしい佐吉様に仕えるのは苦でないどころか私の生き甲斐なのだけれども…父上様に当たる石田様は無慈悲で有名なのだ。正確には叔父甥の関係らしいのだけれども今となっては事実上紛れもない父子だ。ただ、お母上がいらっしゃらない。刑部様曰く、父母とは呼ぶが兄弟の様なもので女気のない大阪ではあまりに不憫と竹中様の鶴の一声にて集まったのが佐吉様のお守役だ。5人の才女の中で私が一番若輩で彩色がなかった。しかし、殿下や竹中様、刑部様。何より石田様の一言で5人いた世話係も徐々に減らされ今となっては私だけになっている。いつ、私の番が来るかと戦々恐々としているのだ。この方の成長を見届けるのが私の生き甲斐なのだ。





「息災か?」
「はい父上。」
「そうか…おい」
「佐吉様に置かれましては恙無く」
「…」
「(睨まれてる?!)今は兵法の本を諳んじられて…」
「そうか。…しかし」
「父上!本当です!此れはよくしてくれています。」
「いや。疑っているわけではない」
「?」
「顔色が悪い…どうかしたか?」
「い、いえ!」
「さっきも言ったのです。でも…熱はないか?」
「佐吉様?」
「熱は、ないな。…本当に病ではないか?無理はしていないか???」
「…はい」
「お前はすぐ無理をするから!少し休めば良いのだぞ!私と居ても…大変だろう?」
「…佐吉様。」
「?」
「大変なことなどこれっぽっちも有りません。私にとってあなた様に仕えるのが幸せなのですよ」
「本当か?」
「はい」
「!」
「(ぱっーてなってる。可愛らしい!)ふふふ」
「!」
「笑ったら少し顔色が良いな…?父上???」
「石田様?」
「い、いや。なんでもない。…顔色も確かに良くなったな。」
「私にとって佐吉様はかけがいのない存在で御座います。佐吉様がお笑い遊ばしたら、其れだけで直ぐに元気になります」
「そうか!」
「はい」
「では待っていろ!父上!左近は何処ですか?」
「知らん…が、鍛錬場あたりだろう」
「行ってくる!」
「佐吉様?!待ってくださいませ」
「…追いかけなくても良い。待っていろと言われただろう」
「は、い。ですが…」
「過保護が過ぎてはならん」
「…はい」
「…」
「(ひどく居心地の悪い)」
「…感謝、する」
「…え?!」
「何だ?!」
「い、え。」
「言いたい事があれば言え!」
「私の方こそ。ありがとうございます」
「…?」
「佐吉様は私の命ですから」
「知っている」
「?」
「以前、あれが寝込んだ時にお前だけ水籠りをしていた。献身的な看病も」
「見られておいでで!」
「あの人見知りも随分懐いている。」
「今となっては嘘のようですね…ふふふ。」
「?」
「左近様にも大変お心を開かれて。何をしていただけるのかしら」
「本当に、母親の様だな」
「そんな!」
「?」
「恐れ多い」
「謙遜するな」
「本当に恐れ多い話です。私は佐吉様の一旦に関わることが出来ただけで有難いのですから」
「…佐吉のことばかりだな」
「はい」
「…羨ましくもある」
「?!」
「っ?!いや、すまん」
「石田様…」
「その、だ」
「佐吉様もお父上様との交流を心待ちにしておいでです!その様な言葉を頂けたと…とてもとてもお慶びに」
「…いや、まて。そういう意味」
「差し出がましくも私も嬉しく思います」
「…」
「今度皆様で紅葉狩りにでも…あっ!申し訳ございません。佐吉様のことになるとつい。お忙しい事も石田様がお心も割いていただいていることも重々承知なのに」
「…本当に。」
「申し訳ございません!」
「いや、すまん。そういう意味ではない。此れからも佐吉を頼む」
「…お許しいただけるのですか?」
「許すも何も。紅葉狩りの件。刑部にも伝えておく」
「!?」
「遠出は無理かもしれんがな」
「石田様」
「なん、だ?」
「ありがとうございます」
「…ああ」






父と母と子








「父上!」
「な、なんだ!」
「言えましたか!」
「…」
「早く母と呼ばしてください!」
「あ、ああ」
「(珍しく押し切られておるか)」
「刑部!」
「何、子は鎹という。佐吉。主がそそのかせ」
「唆すのですか!」
「母になってくれと言えば良い」
「はい!」

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