忍者ブログ
変換なしの雑食夢

ran

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

アゼル

彼女の何が私を惹きつけるのか?
そう、自問するものの答えは出ない。包帯を手に対峙する彼女の顔を見て溜息をつくと片眉をあげて名前を呼ばれる。

「溜息をつきたいのは私の方です」
「すまない」
「と思うのなら逃げないでください」
「のつもりなのだが」
「やり辛い」
「すまない」

古い包帯を巻き取りながら彼女は深く溜息をつき再び顔を見てくる。
バイマトはそのやり取りが面白いらしい。クククと笑って許してやってほしいと言うのだから今度はこちらの眉が寄る。


「痛かったですか?」
「いや」
「痛かったら言ってください。」
「ああ」
「でも」
「ん?」
「凄い筋肉ね。」
「…」
「流石と言えば流石なんだけど。無理のし過ぎです」
「そうか」
「満身創痍だわ。」
「仕方がない」
「あまり無理をなさらぬように。」

おかえりを待つ奥方様が心配されてきますよといわれ、停止する。それを不思議に思った彼女が怪訝そうにこちらを見るので居ないと端的に言えば、そうですかとだけ帰ってくる。

「流行り病だ」
「お気の毒に…」
「もうあまり思い出さなくなった」
「どの様な」
「ん?」
「どの様な奥方様でしたか?」



父方の親戚でよく泣く娘だったと言う。嬉しいと泣くので当時随分と困ったものだったといえばお幸せだったでしょうと彼女がいう


「泣けるのですから」
「そうか?」
「辛抱すると泣けないものですよ。」
「そう言うものか」
「ええ」


では貴方はとたずねたいそれができなかったのは彼女の憂いが思つた以上に深く暗かったからだろう




フラスコの中の人

拍手

PR