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変換なしの雑食夢

ran

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松葉色

「奥方様」
「…」
「奥方様!」
「っ!」
「あ、あいすいませぬ。驚かせてしまって」
「い、いいの。ごめんなさい。」
「殿様からお手紙を」
「ひっ」
「え?」
「あ、ちがうの。その驚いて。置いておいてください。」
「ですが…今日はお返事をと」
「では文を…きゃあ!」
「墨が。今布団と着物をお持ちいたします」




あれから数日が経ったというのにと私は自嘲してしまう。
腕にあの時の痛みが走る。身体中にある痣と打ち身は事実を明確に突きつけるのだから居た堪れない。大きな声に慄き見えない影におののく。体も。血は止まったものの女としても役に立てなくなったこの体は大きな音をたてて崩れ落ちていくのだろう。



「情けない」



未だに立つことを許可されていないこの身が情けない。この両足で大地を駆け天を仰いでいたのはいつの日か。崩れ落ちそうな体と思考は嘆きしか生みはしない。
染み込んでいく墨のようだ。





「奥方様」
「っ!」
「服を」
「やっ!?…あ」
「大丈夫でございます。墨まみれになるおつもりですか」
「ま、つ」
「なんという姿ですか。夜通し歩いた松の方がまだマシな顔をしていますよ。」
「う…」
「う?」
「梅、が」
「娘も覚悟の上。後悔はありますまい」
「でも!」
「竹も梅も忍び。何より貴方の影武者。何度も死ななければならないときにもあなたの機転で生き残ったのです。弔われず草の者として死ぬ運命を貴方は養父母と家を与えてくださりました。」
「松。」
「言祝ぎも何もかも無縁な我らに幸せを与えてくださりました泣くのなら泣きなさい。でもそれ以上嘆くのはお止めなさい。梅が泣きますよ」
「う、」
「あー…墨が」
「う、め…」
「後で洗いますからね。」
「うー」








松葉色








「やれ…」
「何か?」
「墨だらけよな。奥は?」
「泣き疲れて眠りました」
「左様か」
「殿の文は預かれませんでしたので悪しからず。」
「ん」
「刑部様」
「何か?」
「獣に襲われた後のようでございます。」
「我の不首尾よ」
「あの二人はあの時より合わなかったのではないのでしょうか」
「今よりその話を持ち出すか?」
「もっと早くに言わなかったことが悔やまれまする。…殿は」
「今は抜け殻よ」
「自分勝手な男でございますな」

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