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変換なしの雑食夢

ran

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一歩

「田舎?花さんのご実家ですか?」
「いや、そんな大それたものじゃないよ。兄がまだ居るけど、両親はいないからたまに見に帰んないと」
「大変ですね」
「そう?まぁ育ててくれた恩もあるし。歌苗ちゃんのお父さんと知り合いらしくてここ勧めてくれたの兄だしね。近況報告とお墓参り兼ねて二、三日行ってくるわね」
「そうですか」
「一緒に来る?」
「?!」
「何もないところよ。海と山と」
「いいいいいいいいんですか?!」
「そりゃいいよ。なんなら他の連れて行く?」
「聞いてきます!あ、でも」
「?」
「あの人達がご迷惑」
「あー多分無理じゃないかな」
「無理?」
「行けばわかるわよ」










そう言いながら私は車を運転する。数時間後到着した我が実家をみて歌苗ちゃんはどう思ったのだろうか?



「ね」
「ね、じゃないでしょ?ねじゃ」
「白川さん。こちらが大家さんの歌苗ちゃん」
「はじめまして、お嬢様の乳母で御座います白川です」
「乳母?!」
「こっちが執事の黒田さん」
「執事?!」
「お嬢様からよくお話に聞いております。執事の黒田でございます。」
「あっちはシェアメイト」
「皆様のお部屋にご案内いたします。お嬢様。ご滞在は?」
「2日」
「2年でございますね」
「呆けるな。2日。兄さんは?いないでしょ?」
「歩様はご在宅です」
「…」



そういう。いないと言っただろうと言いたいが無理だろう。この顔は確信犯だ。




「ごめん、歌苗ちゃん」
「?」
「こっちがかなり迷惑をかけます」
「は?」







「花ぁぁぁぁぁ!!!!私の女神!!!!!」






「ひっ?!」
「兄の歩です。」
「?!君があの変態の娘か!似ていないな!よかった。奥方に似て!」
「は、はぁ」
「花が、世話になるよ!流石私の女神。さぁ、兄にその美しい顔を見せておくれ」
「きもい」
「ああ!その冷たい目もいい!!!」
「…はぁ。っん?」
「…誰だ。貴様」
「…ベートーベンさん?」
「貴様こそ…塵の分際で私の可愛い女神に許可なく触れるとはいい度胸だ。塵と」
「ステイ!兄さん!!!」
「兄さん、だと?こいつはお前の」




「誰が塵だと?!!!!」




「「あ」」
「シューベルト。行け!」
「ちょっ!?ああ!!!ムジーク駄目!」
「ムジークは禁止だ」
「わかりました!ベートーベン先輩!!!」
「い、いいんですか?」
「いいのいいの。いつもああだし。…ヤンデレだからヤンデレぶつけた方がいいわ。黒田さん。あとお願い」
「はい」
「任せられるの?!」
「麻酔矢の名手だから。」
「ははは。歩様がお嬢様に無体をせぬように磨いた腕でございますからなぁ」
「無体?!」
「おや、若い娘さんの前で失礼を。ではお嬢様。鍵を」
「ありがとう。」
「ベト!一歩さんが動きづらいでしょ?いい加減離れたら」
「駄目だ。あの男に何かされてはいけないからな」
「ほぅ」
「何だ?」
「いえ。これ以上は野暮ですな」
「さぁいきましょうか。」





珍しくくっついて歩くベートーベンさんに疑問を持ちつつ部屋に案内する。男部屋と女部屋でいいと伝えていたのに男部屋は各シングルを女部屋だけ3人同室になっていた。曰く。兄のせいらしい。
シスコン拗らせて大変ねというりっちゃんに私は曖昧な笑みを浮かべてシスコンにヤンデレ添付したら大変ではすみませんと伝える。小学生の時は過保護な兄だと思っていたけど中高一貫の女子校に入らされた時もその程度にしか思わなかった。ただ、16歳の時、「もう子供を産んでも大丈夫だね」と言ったあの顔を忘れられたい。それからセコム黒田白川が発動して今に至る。恐ろしくも最低なのに顔はいいから何とかなっている兄なのだ。



「本当に…どうしたものなのか」
「た、たいへんね」
「犯罪者じゃん!」
「そうなのよ…なのになまじ顔がいいから。みんなには羨ましがられるの。こっちは監禁されそうなのに!」
「よく許したわね」
「何を?」
「一人暮らし」
「死ぬって言ったから」
「「?!」」
「契約書も作った」
「た、たいへんね」
「貴方が、普通に決して来る理由がわかったわ」
「どうも…はぁ」
「にしても何をしている方なんですか?」
「画家」
「画家?…ayu mi…まさか?!」
「知っているの子猫ちゃん?」
「知ってるも何も!!!一枚数千万円って作る今売れっ子の画家ですよね!ニュースとかでバンバン流れてる!」
「それそれ」
「その上ディトレーナーで億万長者の」
「そうなの?昔から家でいたい人だったから。」
「羨ましい!」
「一応、遺産も名義も花のものだよ」
「「?!」」
「僕は誰とも結婚しないから。花だけいればいいんだ」
「…黒田さん」
「申し訳御座いません。お嬢様。ただ、高階様から絵の催促が」
「あー…私の方にも泣きついてきていたなぁ」
「僕は花以外描かないからね」
「…」
「…」
「…はぁ。ピアノ室ならいいわよ」
「本当に?!やった!」
「…ショパンさんに何か弾いてもらう」




「いやいやいや。鍵かかった部屋に普通に入ってきてるの怒ろうよ!」







一歩





「…」
「仕方ないでしょ?ちょっちゃん知らない人の前ではいやだって言うんだもの」
「何故にベートーベンさん?」
「文句あるのか」
「無いけど」
「もー何でもいいから早くしろよ!この屑!」
「貴様ぁぁぁぁぁ!」
「はぁ」
「…花」
「?」
「憂うな。前を見ていろ」
「え?あ…はい」
「まっすぐ前を向く顔が一番美しい」
「?!」

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一歩の話

ソファーに座ると階段の上を見る。銀色の髪は見慣れないせいかよくめにつく。
小娘と呼べば怪訝そうに振り向く。仲が良いのか悪いのか。どっちなのかしらと思いながら私はリストさんとショパンさんとお茶を楽しむ。


「美味しい」
「そう?」
「?」
「眉間のシワが酷いわよ」
「年ですよー。経年変化です」
「いやいや若いでしょ?」
「結婚適齢期ですけどね」
「10代?!」
「ショパンさん…死にたいですか?」
「…すいません」
「死にたくなければ気をつけてください」
「子猫ちゃんは怒っても可愛いわね」
「…最近上司には化け猫扱いされてますけどね」
「嫌なこと、あった?」
「…すいません。ありました。」
「そう」
「ショパンさーん」
「僕、ジョリーにしか興味ないから」
「知ってますよ!でもさっき、シューベルトさんに聞いてもらったら正論吐かれてHPやばいんだもん!正論なんて聞きたくない!」
「そうなの?」
「だから私の心は瀕死です」
「何言われたの?」
「『就労は大人の義務であるとこの時代において理解しているし、ましてや淑女としの努力をしない貴方が良い伴侶を求められるわけがなく、少しでもいいから大家殿に教えを請い〜』て所で実家の母を思い出した。今のご時世家事は女で仕事は男ってわけにはいかないし。だからと言って家事を積極的にかつ主体性を持っていたしてくれる殿方なんて少数派だし。そういう貴重な人材はっといい人材のところに行くのが常でしょ?歌苗ちゃんには悪いけど私死ぬまでここで面倒見てもらう。歌苗ちゃんに寄生する」
「悲観的ね」
「性格ですよ」
「顔はいいのに」
「中身はおっさんってよく言われる」
「…ぷ」
「笑いやがったなこのやろう!今からジョリーを道連れにしてやる!」
「すいませんでした」
「にしてもシューベルトも言いすぎね」
「あの人、ベートーベンさんのこと以外は真人間なんですよ。仕事も見つかったし。…本当にもったいない」
「シューベルトみたいなのが好みなの?」
「え?…まぁ(ベートーベンさんのこと以外は)優しいし手伝いしてくれるし。今は経済力もありますし。結婚相手として好ましいですね」








ガシャーンとすごい音がする。なんの音?!と掃除を中断して元凶を探す歌苗ちゃんを見ながら音の先を見るとベートーベンさんがギターを落としたらしい。それ奏ちゃんのではなかったか?原型をとどめていない姿が恐ろしい。




「あら」
「ベートーベンさん大丈夫?」
「あ、ああ」
「ベト!床に傷つけないでって!!」
「すまん」
「あらあら。」
「ププッ」
「ベートーベン先輩っひっ?!」
「…ご機嫌、斜め」
「珍しいわね」
「「…」」
「無言圧力かけてる…シューベルトさん。お茶飲む?」
「?!」
「花殿」
「ベトもいらっしゃい」
「…いや、そのだ」
「コーヒーないけど。良ければどうぞ」
「…」
「…ありゃ。走ってどっか行っちゃった。…何?」
「可愛いものと思っただけよ」


何がと言いながらシューベルトさんにお茶を勧める。かの人に睨まれた後なのでナメクジのようだ。溺愛してるよね。



「愛ね」
「尊敬です!」
「…偏見はないさからさ。大丈夫よ」
「違うと言っているだろう!大体先輩は!へぶしっ!」
「うおっ」
「嫉妬は醜いわよ」
「黙れ」
「何?!どうしたの!」
「…貴様のせいだ!」
「?」
「これも愛ね」
「やだよこんな愛。…シューベルトさん大丈夫?」
「先輩から与えられた衝撃…」
「大丈夫そうね。通常運転だわ」
「…私は」
「ん?」
「わた、私は!」
「どうしたの?」







「あ!」
「逃げた」
「逃げたわけではない!あれは」
「…嫌われてるから致し方ないよ」
「「…は?」」
「子猫ちゃん…」
「ん?何悲愴な顔を?私何か変なこと言った?」
「良いよ。にしても」
「…」
「ショパンさん?」
「熱?」
「あは?」
「変だと思ったら…歌苗?!」
「いいって。薬あるし。」
「だけど」
「水飲んで寝るわ。仕事明日休みだし。」
「…あ」
「?ひゃ!」
「連れて行く!」
「べ、ベートーベンさん?」
「寝ていろ。運ぶ」
「あ」
「?」
「ありがとう、ございます」
「…構わん」







一歩の話




「あれだけわかりやすいのに」
「無理だと、思う」
「恋愛禁止ではないんですけど…面倒なことだけは起きないようにしてください」
「無理よ」
「大家殿。今でも十分だと思うが」
「…」

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