16 からんころん 番外編終 2015年10月24日 「あら?また」「さよ?」「花が。」「誰でしょうか?」「ふふふ。可愛らしいことをするものですね。」「?」「にしても姫様。石田様の文はお書きになりましたか?」「もう終わります」「見せて頂いても?」「怪我も順調なればご心配には及びませぬ。されども粗忽な姿にてご不快に思われましょう故、見舞いは結構ですとしか書いていませんよ。左手なので悪筆ですから。嫌気がさしてもう手紙も終ましょう」「そうだと良いのですがね。ああ、姫様」「はい」「薬の時間ですよ」「う…」「早く飲んで下さいませ。私は手紙を渡してまいります。」「お願いいたします」ぱたんと閉められた戸を見てため息をつく。美味しくなさそうだなあ。と一気に飲むとやはり美味しくなくて嫌になる。此れから嫌なこと辛いことが沢山あるだろう。琴に舞。和歌を詠む琴もなくなるのだろうし。何より、普通の女としての幸せは得られないだろう。ここにきて傷だらけだ。誰も結婚したいとは思ってくれないだろう。と思案して湯呑みを置く。本当に嫌になってしまう。「お父様。お母様」お逢いしたいと言えばきっと打たれるのだろう。父と母に何かされてしまうかもしれない。私が我慢しなければと涙を拭う。後継者として必要な時間はどのくらいだろう。お父様が生きておられる間に城に帰れるだろうか。帰れるわけはないか。きっと帰る時は死んだ時だ。お母様がそう仰っていてお泣きになったのだから。傀儡の後継者。そう言って「お前も人の都合で手おられて可哀想に。」山茶花が哀れに見えるのはそこに自分を見ているからだろう。くすくす笑い花を抱いて眠るのだったからんころん番外編「顔にも?!」「だましゃれ。起きるわ」「ぐう…」「主は嫌われておる故。そこからはいりゃしゃるな」「刑部」「ん?」「初陣だ、が」「先鋒よ」「?!」「暴れるでない」「初陣で先鋒とは!?無事にご帰還されると思うのか?」「主の拝し奉る太閤殿下と軍師殿の偈よ。やれ、三成歯ぎしりが耳障りよ」「刑部」「心配ならば奏してみよ。或いはがあろう」「心配してしたりない。私は自分が思っている以上にこの方を大切に思っているらしい」「らしいか。それこそ。主らしい」「だが、身分が違う。」「…そうよの」「いくら欲しても得られぬ。明星の様な方だ」「主も娶りたいと思うのか?人の娘を」「出なければ、抱いて動かん」(若紫…?!)「ただこの方は唯一にして無二の存在。私より強い方だ」「ひひひ。剣速が主の方が早く鋭い故。人には向き不向きがある。居合術では主が勝つが他なればわからんよ。何より、棒術、徒手術は誰も勝てぬ。姫はそちらが向いておるのだろう」「…そうか」「ん?」「私の短慮のせいで。この短気、どうにかならんか?」「気の長い主は主ではない。が、そうよな。良い加減にせねば…ん?」「如何した?!姫様になにかあったのか???」「いや、山茶花?」「!?」「そう言えばさよ殿が花を置いていくものが…やれ三成。顔が赤い」「そう、か。抱い、て」「主もほとほと呆れるほどに不器用な男よの」 PR